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チャイナビジネス最前線

中国に学ぶ大胆な震災復興策~中国の素顔(9)
チャイナビジネス最前線
2011年3月29日 13:37

 中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。

 中国の四川大地震から3年、四川省の山間部では基幹道路の整備は進んでいるが、倒壊した家屋は今もそのままである。数千万人の被災者たちはいったいどこへ行ったのだろう。

倒壊した家屋山間部の基礎道路整備

 地震後、中国政府はいち早く1兆元(約13兆円)の財政支出を行い、大胆な復興計画を進めたようだ。復興予算を省区ごとに振り分け、山間部の被災者たちを市町村ごと移転させたのである。地方都市の周辺には、福岡市と同じくらいの規模の市町村を3年間でいくつも造っていったのだ。

 折からの好景気も追い風となり、災害復興が世界第2位となるGDPの押し上げに貢献したのも事実であろう。山村を復旧しようとしていたら、道路建設に3年かかり、被災後3年経っても山奥の被災者たちは未だに仮住まいのままであっただろう。国土の広さや社会制度の違いもあるだろうが、四川大地震復興計画は日本も見習うべき点が多いように思われる。

 東日本大震災から2週間が経ち、この間の日本の政治家の発言を聞いていると口では「未曾有の大災害」といいながら、「阪神淡路大震災の経験を踏まえて」とか「こども手当を復興財源にして」とか、既成の概念のままでこの局面に立ち向かおうとしているとしか思えない。阪神淡路大震災の場合は、街を元に戻す政策でよかったが、今回の大震災は原発問題や電力不足の問題もあり、チマチマした計画では何年、何十年もかかり、結果として、日本経済が沈みかねないのではないだろうか。

 新たな国債の発行は日本の財政再建を遅らせるとの意見もあるが、外科手術が必要なときに薬でガマンしなさいという意見に思えてならない。いち早く暫定予算のもと復興国債を発行し、義援金の代わりにゼロ金利国債を個人や企業に購入してもらい、大幅な財政出動のもとに復興マインドを乗数効果にしてGDPを押し上げる効果を図ろうとするぐらいの復興策が必要ではないだろうか。

 今こそ、事業仕分け的な発想を転換するべきだろう。一時的な生活必需品の買占め騒動で、眉間にしわを寄せてコンビニを視察する大臣の姿を見るより、何万キロも離れた海洋汚染を心配して塩の買占めに走る庶民をなだめる中国政府のほうが頼もしく思えるのは残念だ。

(つづく)

【杉本 尚大】

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